富美山バスケ部物語 大学編 -入部への道-

  大学生活では部活だろうが学業だろうが何一つ苦しい思いをしたくなかった。とにかく4年間を怠惰に、堕天使のように、あわよくばヒモとして満喫するつもりであった。なので、バスケ部には入らないつもりでいたし、入っても所謂「お遊びサークル」かなぁ〜なんて考えていた。


 県大ではサークル・部活紹介、なるものが存在する。新入生を集めた上で、半日かけて全てのサークルが自らの紹介をするのだ。高校とかでは、よくありますよね。

 林修がフィーバーしていた当時、どの団体もこぞって『じゃあ、いつ入るの?』『今でしょ!』を乱用。その発想力の乏しさに僕は辟易としていた。


 そんな中、男子バスケ部によって再生された「残酷な天使のテーゼ」は僕の心の静寂を切り裂いた。

 『私こうゆう時、どうしたらいいか分からないの』『バスケ部に、入ればいいよ』という、エヴァ寸劇を敢行。これ以上ない程にスベッていた。それはもう、静寂を超えた静寂であった。が、綾波レイ役のヒョロっとした男と、碇シンジ役のキノコ頭の男は、共に極めて満足気な表情を浮かべていた。

 “この2人は心からエヴァが好きで、ただ単にこの寸劇をやりたかったんだろうな”と感じた時には、僕はもう男子バスケ部への入部を心に決めていた。この2人と仲良くなりたい、と心底思ったのだった。


 早速、練習に参加した。ランニング中、キノコ頭の男とはひょんなことから、音楽の話で盛り上がった。軽音部の誰とも出来なかったハヌマーンやamazarashi、神聖かまってちゃん(当時は今ほどメジャーではなかった)の話が、まさかバスケ部で出来るとは思わなかった。

 聞けば、キノコ頭の男はドラマーであり、どうやら僕が思うよりもコアで、アングラなことをしているらしかった。その他、発する言葉の節々に光るセンス、醸し出すアンニュイな雰囲気に惹かれ、僕は彼とバンドを組むと決めた。キノコ頭の男の名は、ワキ食べ。これがfurusasの始まりである。エモい。

 そんな中、先輩の誰かが女バスの方を見ながら「あの子、巨乳じゃね?!」と言った。

 すかさず『大切なのはね、、形だよ!!』と声を荒げたのは、ヒョロっとした男。その純然たる性欲の発露に、僕は男子大学生の核心を見た。彼の名はKさん。限界まで留年を繰り返し、数多のエピソードと共に数世代に渡って“伝説の部員”と称された男との出会いであった。

 こうして僕の、大学でのバスケ部生活が幕を開けたのであった。

 


 



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