トラウマ新人研修備忘録④ 行動力基本動作10カ条

 いよいよ内容について書くことにする。タイトルでもある、「行動力基本動作10カ条」。研修の2週間くらい前に資料を配布され、研修で使うので覚えておくように、と言われた。

 少し見るだけで吐き気がこみ上げてくるような内容。検索したら出てきので一応記載。私たちが暗唱したものは、若干自社よりにアレンジされていたと思う。


◆ 行動力基本動作10ヶ条
第1条  ぐずぐずと始めるな。時間厳守、行動5分前には所定の場所で、仕事の準備と心の準備を整えて待機せよ。
第2条  行動に当たっては、短時間で最高の成績を上げることを心に誓え。そして心の中に達成意欲がメラメラと燃えるまで は決して、行動に移ってはならない。やってやるぞと一声叫べ。
第3条  指示を受けたら大きな声でハイと返事をし、ただちにとりかかること。いったん行動を開始したのちは猟犬の如く忠実 に、キツネの如く賢くそしてライオンの如く勇猛に。
第4条  はじめに結果の報告書を作成し、仕事の進行と共に空欄を埋めてゆけ。これを企画という。
第5条  行うべき作業を列記し、項目に優先順位を記せ。
第6条  行動は敏速を旨とす。このためには動作はきびきびと、言語は簡潔明瞭にてきぱきと進めよ。
第7条   質問されたら全員即座に手を挙げあげ、指名された者は簡潔明瞭に答えること。わからない場合は、わからない旨 はっきり答えよ。
第8条   いかなる困難に直面しても目的を放棄せず時が深更に及ぼうとも最後までやり遂げる不退転の強い意志をもて。
第9条   行動の価値を決定するのは、所要時間と結果の良し悪しである。最も短い時間で最良の結果を得られるよう、常に 手順・方法を工夫改善し、昨日より今日、今日より明日と、時間の短縮と結果の向上を図れ。
第10条 行動は命令者への結果報告によって完了する。やりっぱなしは何もしないよりまだ悪い。報告及び事後処理を完璧に やれ。


 いや、ヤバない??

 これを全て覚える訳だが、なんせ言い回しがキモいためなかなか難しい。更に言えば、日々深夜まで残業するような職場で、こんなものを覚える時間や心の余裕も無い。ほとんどの社員は研修当日になっても、まともに覚えていなかった。(私はがっつり覚えた)

 で、どんな風に暗唱するかと言うと、こんな感じだ。

 


N氏:行動力基本動作10カ条、発表する者!希望者挙手!!

一同:はい!!

N氏:では一番声が透き通っていた富美山君!!

富美山:はい!!


N氏の前に立つ


富美山:(所属部署)の富美山です!行動力基本動作10カ条!!

    第一条、グズグズと始めるな、時間厳守、行動、


 途中で少しでも言葉に詰まると... 


N氏:不合格!!次に発表する者、希望者挙手!!

一同:はい!!


 10カ条全て詰まることなく暗唱すると...


N氏:合格!!次に発表する者、希望者挙手!!

一同:はい!!


 と、こんな感じで合格するまで何回もチャレンジする。が、先にも述べたとおり、どいつもこいつもろくに覚えて来ていない。これに関しては会社とか研修内容ではなく、単純に参加者のリテラシーの問題。言われたことはさ、やろうよ!!ガキじゃねぇんだからさ!!!

 

 こうして2時間くらいだったかなぁ、時間内に合格できたのは私含めた4人か5人。残りの18人程度は、「希望者挙手!」ではなく、休憩時間に講師を捕まえて、暗唱を見てもらわなければならない。講師といえども、無能社員であるN氏以外は、重役にあたる為(全然、フランクなのだが)、人によってはなかなか話しかけづらいのがネックだった。

 ちなみに滞在中、絶対に合格をもらわなければならない。事前に上司はこれについて「合格せずに帰ったものはいない。仮に合格できなかったら、この店に帰ってこなくていい」とか言っていたなぁ。とにかく、その為に1日目の夜なんかはみんな必死に暗唱の特訓をしており、おしゃべりとかトランプとかロクに出来なかったことはよく覚えている。

 全般的に言えるのが「これができたから、何なん??」ってことである。それも勿論、私たちを追い込むための手段であり、目的ではないのだろうが。それにしても「心の中に達成意欲がメラメラと燃えるまで」とか「犬の如く忠実に、キツネの如く賢く、そしてライオンの如く勇猛に」なんてゲロヤバなワードを人前で叫ぶこと、こと自意識の高い女子社員によってはさぞ恥しく、苦痛だったことだろう。だから私は、心の中でずっとニヤニヤしていた。

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