漢気のDNA

 僕には3歳と0歳の息子がいる。これは、妻が長男を保育園へ連れて行った時の話。

 妻と乳飲み子である次男は、いつもセット。それは勿論、保育園に行く時も。抱っこ紐で抱えられた0歳児は本当に愛らしい。また、妻の持つゆるキャラのような穏やかな雰囲気も相まって、他の園児たちから『可愛いねぇ〜!』とか、よく絡まれるらしい。その日も、ある1人の男の子が、屈託のない笑顔で話しかけてきた。


 『可愛いねぇ。ねぇ!ジャンケンしようよ!』

 男の子は言った。当然のことながら、0歳の息子にジャンケンすることは出来ない。妻が息子の手首を握って、代わりにジャンケンをしてあげた。


 ジャンケンポン!


 チョキを出す男の子。妻が差し出した息子の手は、パー。そりゃ、パーしか出せないのだ。負けた。パーしか出せないことを、男の子もどうやら分かっているようだった。つまり、自分が絶対に勝てる勝負を持ち込んできた、ってこと。ま、園児なんぞそんなもんでしょうよ。

 君の勝ち〜!すごいねぇ!と、男の子を褒める妻。男の子は『もう一回しよ!』と得意げに言った。


 ジャンケンポン!


 グーを出す男の子。息子の手は、勿論パー。あ、勝った?!??

 『あれ?勝っちゃったよ、グーでいいの?』と尋ねる妻に、男の子は真っ直ぐ目を見て答えた。

 

 『いいの!僕、勝たせてあげたかったから!』


 や、優しい〜!!というか、漢気!!園児にしてその懐の深さよ。数行前に「園児なんぞ」と嘯いていた自分が情けない。妻も、ガッチリ男の子の漢気に射抜かれてしまいました。是非ともご両親には、この日の彼を褒めて褒めて、褒めちぎって頂きたいもんです。


 既にお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この男の子の父親はelephantの森岡さんです。まさに“漢気のDNA”。いつもお世話になります。今後とも、家族ともども何卒よろしくお願いいたします。

 


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