続・告白をした時の話。-世界に2人ぼっちで-

 2人きりの公園。僕とAちゃんは、付き合って、別れて、また付き合って、別れて(『告白をした時の話。-君と生まれ変わっても必ずマタアイマショウ-』に記載)、そして今まさに、付き合おうとしていた。3度目の告白だ。別れてからも定期的に連絡取っていたし、こうして2人で話している。関係性は良好のはず。それは高校3年の、部活をいよいよ引退し本格的に受験シーズンが訪れる時期だった。

 特に畏まらず「また付き合いたい」と、僕は言った。その時の僕には、やはりAちゃんしか考えられなかった。今までずっと好きだし、これからもずっと好きで変わらない、と。

 それに対するAちゃんの答えはこうだ。


 『2人が志望校に合格して、大学卒業したら付き合おうよ。』

 

 あ、これは振られたわ。絶対そんな気ないっしょ。はい、終了〜。僕の心は砕け散ったダイアモンドに乱反射するプリズム的なノリに映し出されたピエロの空気感だった。しかしながら、ごくわずかな希望と、浅はかな下心で僕はこう答えた。


 「分かったよ。じゃあ、大学卒業した後にするKISS、一回だけ、今からしていい?」

 

 これはマジ。一体何が“じゃあ”なのかもう、自分でもさっぱりで。キモいよね?へへっ、ふぅー。


 『うん。いいよ。はい。』


 そう言ってAちゃんは少しだけ微笑みながら唇を差し出し、瞳を閉じた。え?いや、KISSしていいんかい!!そして僕は、僕たちはKISSをした。公園の片隅。世界に2人ぼっちで。その数秒は、ただの永遠だった。KISSしたまま、Aちゃんは閉じていた瞳をゆっくり開き、こう言った。


 『大学で、私より可愛い子がいても、浮気しないでね。』


 何を、当たり前のことを。重ねていた唇をそっと離し、僕は笑った。Aちゃんより可愛い子なんて、いるわけがないじゃないか。この時僕は確かに、大学の4年間はAちゃんを想い続けるのだと決心した。同時に、Aちゃんも僕だけを想ってくれるのだ、と。だからきっと大丈夫。なんかさ、バクマンみたいやん?とか言いながら手を繋ぎ、夕陽に照らされた小野田駅までの道を僕たちはゆっくりと歩いた。流れていく景色の何もかもが、希望の光に見えた。


 それから数ヶ月後、センター試験の時くらいかなぁ『地元の先輩を好きになってしまった』とか言われて、Aちゃんに振られたのは。大学卒業がどうのとかの約束?勿論、白紙!バクマンなんてクソ。ホンマ、うけるわ〜。


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