トラウマ新人研修備忘録⑤ スーパーラジオ体操
スーパーラジオ体操。言葉の通り、スーパーなラジオ体操。ご存知のラジオ体操第一を、もっともっと激しく行う。むしろ不健康とさえ思える程に。小学校の時とか、体操の動きに合わせてやたらと飛び跳ねたり、大声出すお調子者、1人はいたと思う。言うなれば、それだ。
富美山:富美山、基準!体操隊形に開け!!
一同:はい!!
富美山を基準として、全員が激しく体操するのに十分な距離をたもつ位置へと走る。程なくして、スーパーラジオ体操が始まる。この時、音楽は流れない。私たちの「いっち、にー、さん、しー!!」の絶叫が透き通った朝の空へと吸い込まれていく。そして全ての体操が終わる。
富美山:富美山、基準!元の隊形に戻れ!!
一同:はい!!
走って元の位置に戻る。
N氏:それでは、今よりもっと激しく!もう一回!!
一同:はい!!
N氏:基準となるもの、希望者挙手!!
一同:はい!!
N氏:それでは、富美山君!!
富美山:はい!!富美山、基準!体操隊形に開け!!
一同:はい!!
もう一度、体操が始まる。先ほどより体が暖まっている為、多少は動き易い。私たちの絶叫が再び、透き通る朝の空へと吸い込まれていく。そして全ての体操が終わる。
富美山:富美山、基準!元の隊形に戻れ!!
一同:はい!!
走って元の位置に戻る。
N氏:皆さんの心に若干隙がありました、更に激しく!!もう一回!!
一同:はい!!
N氏:基準となるもの、希望者挙手!!
一同:はい!!
N氏:それでは、富美山君!!
富美山:はい!!富美山、基準!体操隊形に開け!!
一同:はい!!
体操が始まる。タイムリープしてない?と、この時あたりから思い始める。それでもムーブを止めることは許されない。私たちはただ、無心で踊り続けるしかなかったのだ。空が、次第に色づいていく。
N氏:う〜ん、もう一回!!
一同:はい!!
一体今、何度目のループだろう。
そして体操は終わり、体操はまた始まった。