入会版 旋律世界救済教団
旋律世界救済教団 概要
教祖 富美山混沌核 Tomiyama Chaotic-core
最高神 我旋律是你旋律也 my melody is your melody
『神は何処にいるのか』 旋律世界救済教団においてその問いの答えはこうだ。
―神は旋律の中に宿っている―
仏教における念仏、お経や木魚のビート、キリスト教の聖歌やパイプオルガン、または川のせせらぎや子供の笑い声、これらが人々の心を癒し救うのはそう《神がその旋律の中に宿っているから》
では、果たしてそれらの旋律は神が宿るべくして奏でられたものであるか。答えはノーだ。先述の旋律が偶発的に、または人々から求められた結果として、神が宿りヒーリング波動を発しているに過ぎない。
そこで最高神マイメロディ・イズ・ユアメロディは、まさに神々が宿る為の旋律の作曲及び演奏を、一人のビートメーカーに託した。それこそ我らが教祖、富美山混沌核である。彼の奏でる旋律によるヒーリング効果は、川のせせらぎと比較して四万倍。旋律的に観れば光の塊である。
旋律世界救済教団とは富美山を崇拝し、彼の奏でる旋律によって人を救い、絶望に満ち溢れた世界を救済する事を目的とした教団である。
合掌 ありがとうございました
旋律の歩み
topic0 : 富美山混沌核 生誕
公務員の家庭に生まれ、経済的に何不自由ない幼少期を送る。
『この子はちょっと人とは違う』という大人たちの何気ない社交辞令を真に受けたまま、健やかに成長をする。
topic1 : 最高神からの啓示
19世紀 太平洋戦争中
場所は真珠湾上空、零式艦上戦闘機(零戦)を操縦中、突然白い光に包まれる。
眩い光の中で最高神マイメロディ・イズ・ユアメロディから啓示を受ける。
―神々が降臨するための旋律を、これからあなたが奏でるのです。それこそが、この世界を救う―
次の瞬間にはフィリピンに着陸しており、啓示に従い旋律世界救済教団を設立。
topic2 : 活動開始
フィリピンより帰還後、すぐにZOOMのマルチトラックレコーダーを注文。
空腹を忘れるほどトラック制作に没頭し、1年足らずで30曲のトラックを制作。SoundcloudやBandcamp等にアップロードし、世界平和を目的としたヒーリング波動を全世界へ送り続ける。
20代女性を中心として徐々に信者が増えていく。
topic3 : 国家による弾圧(第一次富美山事件)
アンチ国体(軍国主義)の富美山を政府管理局は危険視。特高により教団は激しく弾圧され、富美山に至っては治安維持法違反および不敬罪の罪で無期懲役の判決を受け投獄される。過酷な拷問の中でも脳内で絶えずトラック制作に打ち込む。
この時ブレイクコアを中心に作曲しており《脳内で制作した曲がSound cloudにアップロードされる》という奇跡は後に《プリズンブレイク》という言葉のインスピレーションとなる。
数年後、終戦により釈放。無罪放免。国家賠償責任として100億円を受諾し、後の様々な活動における資金源となる。
topic4 : 教団の拡大
戦後復興、富美山の釈放と共に、教団の掲げる平和理念が世間に受け入れられ信者が急増。
また後述の様々な企画が功を奏し100万人を超える大所帯となる。この時、第一次富美山事件で国家より弾圧されたことが左翼団体に支持され布教の一助となったとされている。
opic4-1 : 大運動会を開催
昭和64年1月7日、日頃の運動不足解消と新しく入団した信者との懇親を目的に《旋律世界大運動会》を開催。富美山が幼少期を過ごした山口県宇部市は渡辺翁記念会館を貸し切り《来た時よりも美しく》を標語にして極めてエレガントかつ紳士的に運動会は執り行なわれた。一部の信者から『昭和最後に宗教団体がライブせんで運動会で締めるってどうゆうこと?!』との指摘を受けるも、結果として教団の結束は極めて強固なものとなる。仲間は宝。悲しみを喜びに、自分らしさを力に。
topic4-2 : 機関誌「旋律新聞」創刊
宗教的な内容は薄く、主として音楽関係のゴシップネタをまとめた情報誌として世界的に流通する。
富美山のプロデュースしたアーティストloki was punished by a nongovernment (通称ロキノン) が世界の中の日本は中国地方の限られた層で大ヒット。世間では彼らにインスパイアされた若手ミュージシャンを『ロキノン系』と表現したらしい。ロキノンはスタイリッシュな音楽性とエキサイティングなビジュアル、圧倒的なイズムを兼ね備えており、旋律新聞において150回連続で表紙を飾る。それは後に『LEON』におけるパンツェッタ・ジローラモが151回で追い抜かすまでの『連続して最も多くのファッション誌の表紙を飾った数』の世界記録であった。
topic4-3 : SKI (旋律世界救済教団インターナショナル) 設立
Soundcloudを経由し、下記のメッセージが届く。
whаts up How аrе things
I аm 'bout to SHАRE your trаck to my SK-Famоus-Аccоunts-Netwоrk.As a rulе, а trасk gаins the follоwing аctіvity:
● 10,000 rеаl follоwers, 30,000 lіstеnеrs, 4,000 tіmes lіkеd and shаrеd, еxtrа Vіdео Tеаsеr.Fіnd the lіnk in my profіle ріcturе!
『全米が自分を切望している』と確信。即日、アメリカ合衆国カリフォルニア州クパチーノに海外支部SKIを設立。
topic4-4 : 政界に参入
偶像のオーヴアコート―某都市に宿るイデア―党 樹立
衆議院選挙に300名の候補者擁立。少子高齢化を予見し、福祉の充実と国民保険のシステム改革をコミットしたマニュフェストは『100歳までよろしくね』しかし投開票の結果、全員落選。全ての選挙区において供託金の水準を下回り、約10億円を没収される。直後の例会にて富美山は「101年目がこんなに早く来るとは思わなかった。この選挙に僕らの夢を乗せるのは重荷すぎたかな。」とコメントした。惜しくも落選となった候補者たちは富美山へ《ありがとう》と一緒に《ごめんね》を伝えた。
この時、某ニュース番組にて『政教分離に反する』という理由で教団を批判したインテリ気取りのコメンテーターはオンエアー前日に謎の失踪を遂げる。人は哀しいね。この選挙に富美山が名前をつけるならそれは《ありがとう》
topic4-5 : 映像配信チャンネル 《戦慄の旋律TV》 スタート
スタート当初は主に教団の料理長、サイモンが毎日の料理作りを3分にまとめた動画を配信した。日本料理から中華、イタリア料理まで分け隔てなく、簡単かつ安価なレシピは世の主婦層から絶大な指示を得た。
中盤からはゲストを招き、サイモンと共に作った料理を、富美山が星の数で判定した。最高記録はアイドルMが素手で握った塩おにぎり。それを口にした瞬間に『星、六兆個ッ!』と白目を剥いて絶叫した。
終盤は一般参加型の公開オーディション番組にシフト。『ロキノン』『ポケットに忍ばせた錆びたナイフズ』といった次世代のスターを輩出する。審査員だったサイモンはここから着想を得て、アメリカズゴットタレントを立ち上げたと言われている。
度重なる番組の改変で視聴者から『さっきまでと言ってること違うじゃない』とクレームが入る。教団はこの問題に対し、楽しくクールで、セクシーに取り組んだ。
topic4-6 : 少年少女アート的感性向上基金 設立
少年少女へのアート的感性の向上が、令和における世界平和の基礎を盤石にすると確信。《All of guns change to melodies基金》を設立。『全ての銃を旋律に変えよう』という訳だ。旋律世界救済教団のテレビ、ラジオの出演料やbandcampで得た収益の半分を少年少女に向けたアート的なシンポジウムを開催する予算に充てた。熱心な活動の甲斐あって設立から数週間で基金は50億円に到達。しかし、この基金の代表mekoisuを含めた主要メンバー八名はプールされた50億円全額を横領し国外逃亡。『裏切りは女のアクセサリー』という訳だ。それを元手に《おたまじゃくしの会》を立ち上げ、現在は主にタイで活動している。
それでも富美山とmekoisuは今でも仲が良いから、人生って不思議だ。
topic4-7 : 第一回 harmony of the night 世界大会を広島市で開催
富美山の考案したトランプゲームであるharmony of the night の世界大会を教団主催にて広島市はナミキジャンクションで開催。30を超える国から代表プレイヤー250人が参加。ビジター300万人が予想されたことから、市は急遽アストラムラインを建設。この名前は同競技における攻撃側の最もベーシックな陣形(前衛のプロフェッショナルを分裂させ、あえて後衛を守らせる)である《Astrum line of the night》から名付けられたと言われている。第一回目の優勝はコンガ代表『スーパースピードボーイズ』その後、世界各地にて不定期で開催。次の第35回大会はシンガポールで開催予定。
topic4-8 : デトロイトの大学にて客員教授となる
ご縁紡ぎ大学 デトロイトキャンパスにてアート的な客員教授のオファーを受ける。『生命エネルギーを引き出し、人生が劇的に変化する究極の施術』をテーマにして、講義は魂のメッセンジャー《ワキ毛も食べます》とセッション形式にて隔週開催された。エネルギッシュな生命の躍動と、とてつもないパワーを持ちながら、どこまでもピュアな瞳で、地球の出来事を見守り楽しんでいる、ワキ食べそのものの美しいドラゴンにハートが震える。
これをきっかけに二人はエキゾチック脳内愛撫バンド、furusasを結成。合言葉は《突き刺したい》クリスタルな演奏中にはライブハウスの精霊達が一人一人の周りを愛でるように飛び、魂を更なる領域へと導く。今日はあなたがfurusasに出会った大切な日。出会ってくれて、生まれてきてくれて、ありがとう。自主制作音源『解放の先に見た追放』『振る、刺す。』等、2019年現在においても絶賛販売中。ひとつよしなに。
topic5 : 衰退期へと突入 (様々なスキャンダル)
オリジナリティ溢れる企画を次々に世へと繰り出し、新興宗教としての栄華を極めた旋律世界救済教団。しかし、後述の第二次富美山事件をはじめとした、度重なるスキャンダルによって運命の歯車が少しづつ狂い始める。
topic5-1 : サイバーテロ、カルト教団認定(第二次富美山事件)
ヒーリング効果を10万倍に引き上げた試作中の音源がハッカーによって流出。30億台ものPCがシステムダウンし、世界経済に未曾有の大打撃を与える。世界の経済バランスの転覆が直ぐそこにまで訪れたものの、富美山の苦渋の決断と教団のシステム担当、スティーブの効かせた機転でなんとか収束。
しかし世間は旋律世界救済教団を過激派カルト教団認定。特に甚大な被害を受けたアメリカは富美山を《混沌を奏でるテロリスト》として国際指名手配した。これをきっかけに富美山は様々な名義の多用を余儀なくされる。
topic5-2 : 有名タレントの芸能界引退
当時、人気絶頂だったタレントTが入信を理由に芸能界を引退。週刊誌を騒がせ、世間に大きな衝撃を与えたかに見えた。
報道から二週間後、暴露本『或る少女による追憶』を出版。芸能界の深層部へ大胆にメスを入れた本書は闇営業、反社会勢力との繋がり、ギャラ配分、巨大事務所による圧力等、不祥事の数々を解釈、攪拌し、キャッチーに構築した。
topic5-3 : 教育カリキュラム改変
某私立高校で、教団の信者である生徒Kが『アートが足りない』を理由に音楽の授業を出席拒否。担任であった数学教師Sは熱心にこれを尊重するも、学校側は取り合わずKを退学処分。それに対し最高裁判所は『退学処分は宗教の自由を無視した、裁量権の逸脱汎用である』として処分を取り消すよう学校側に指示。それでも居場所を失ったKは転校を余儀なくされる。事件を重く見た文部科学省は次年度からの教育カリキュラムにアートの要素を追加した。
余談ではあるが転校したKはその後、抜群の成績を納め、日本屈指のメガバンクに就職。飛ぶ鳥を落とす勢いで出世した。一方、彼を退学にした高校は無謀な事業多角化によって経営難に。皮肉な事に、Kはその高校の融資担当となる。土砂降りの雨の中、土下座をして融資継続を懇願する理事長。哀れなかつての権力者を鼻で笑いながら融資を取り上げ、廃校へと追い込んだ。
topic5-4 : 大麻の服用で信者数人が逮捕
住民全員が信者から成る山奥のコニューンにて、大麻の栽培および服用が発覚。捜査はかつてない規模の宗教団体による薬物事件として全国中継された。逮捕時、彼らは皆キマリ切った表情で『おヒマな方、カモーン…』等と警官や麻取に対し《カモンのお誘い》を延々と繰り返していた。旋律的には平常運転だが、世間一般的には気狂いの極地、カルト中のカルトとカテゴライズされる。
topic6 : 入会版 旋律世界救済教団 制作
数々の事件により、頻繁にネットで叩かれるようになる。特にネトウヨと言われる層からの誹謗中傷は深刻だった。信者数は最盛期の100分の1に激減。そんなある朝、再び光に包まれ最高神マイメロディ・イズ・ユアメロディから啓示を受ける。
―やっぱほら、入会版のガイドブックみたいな?そんなんあったほうがええんやないかねぇ。
富美山、文章書くのとか好きっしょ?―
そして本作品「入会版 旋律世界救済教団」を執筆開始。